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経済学部 学生記者クラブ

〜シンガポール旅行を通して環境問題を考える〜

夏が一年中続く赤道に近い国、シンガポール。琵琶湖とほぼ等しい面積をもつ小さな国である。様々な民族が住んでいることから、多くの文化に触れることができる。街でゴミを捨てれば罰金が課されるということから、街並みはいたって綺麗である。また、一人当たりGDPも高いということもあり、シンガポールはとても豊かな国である。
シンガポールという国を聞いて、最初に浮かぶのは上半身がライオン、下半身は魚の「マーライオン」の像だと思うのだが、実はシンガポールには5基のマーライオン像がある。全てのマーライオンを見つけて写真におさめるのも面白いかもしれない。
また、シンガポールはF1グランプリが開催されている国としても知られている。シンガポールの高層ビルなどを背景に、ナイトレースが開催される。また、コースのそばにはシンガポールを象徴する建物などが点在している。
現在、シンガポールは様々な施設やビルを建設中で、今後街並みが大きく変化する可能性がある。

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〜シンガポールの国立図書館とグリーンマーク〜
その建設にあたり、多くの建築家やデザイナー、建築関係の方々が動いている。今回、私は電気関係の仕事をするDavidさんという方を紹介していただき、直接、英語でシンガポールの環境についてお話を聞くという貴重な体験をさせてもらった。
彼の話によれば、シンガポール政府建設局(以下、BCA)は、省エネなど環境への配慮をした建物に「グリーンマーク」を与えて建築物を評価しているという。BCAとはシンガポール国家開発省に所属する機関であり、グリーンマークは、環境に悪影響を与える要因を少しでも削減しようという観点から、建築物を評価するために用いられるもので、エネルギー効率や水利用効率、ビルの管理、屋内の環境品質・保護、そして革新的な技術といった基準で評価されるものである。グリーンマークを受賞するということは、その建築物にかかる水道・電気代の減少はもちろんのこと、潜在的な悪化の防止につながることから、サスティナブル建築(持続可能な建築。地球環境への負荷を抑え、建築物の長寿命化によって、環境を維持していくことができるようにと計画・建築されたもの)の建設が促進されるという。そして、その評価を得た建築物は、ビルを建築した、またはそれを保有する企業イメージや、ビル転売時の契約などにとてもポジティブな効果を発揮するのだ。
photo004エネルギー効率の面でシンガポール国立図書館は非常に優れており、このグリーンマーク賞を受賞している。この建物には、環境への配慮がなされたシステムが組み込まれている。日本でよく見かける、人体センサーによる省エネのシステム(例えば、トイレなどで、人が利用しない時間帯に照明をオフにするシステム)は、省エネにおおいに貢献できるシステムである。また、太陽光を感知して室内照明の電源のオンまたはオフにし、建物の中が過度に温まらないように空調をする設備もシンガポール国立図書館では取り入れられている。
今後、シンガポールだけでなく日本でも、そして世界中のいたるところで、新しく作られるビルや施設にはこういった省エネ対策が必須項目となってくるだろう。国が発展するに伴って、エネルギーの消費が増加し、省エネを考えることが必要になってくる。シンガポールは建国して間もない国であり、かつ小さな国であるので、国全体が急速に省エネ国家になることがあり得るかもしれない。

〜シンガポールを美しく彩る「電飾」はエネルギー多消費型か?〜
しかし、一方で、シンガポールには「電飾」というエネルギー多消費型のように思われる「アート」もある。その例として、イルマ・ショッピングモールをみてみよう。

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photo006イルマ・ショッピングモールの外壁は、上の写真にあるような電球の発光部を滑らかに作動させながら、電飾効果を得るというシステムで成り立っている。この発光部分の動き(オンやオフや、ソフトに発光する)をパターン化しているそうだ。そして、イルマの外壁には、下の写真のようにこの電球が並んでいる。
約3000個ものピースを用いて壁に並べていることから、一面が大きな画面のようになっていると考えることができる。パターン化されたシステムを用いて、発光を滑らかにしているので、遠くからみればテレビのように見える。

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外観を見ればわかるように、ビルの外壁自体が大きなテレビのようなシステムを持っていて、午後7時ごろから電飾が発光し、美しい電飾効果が見ることができる。また、内装も洗練されたデザインなどで建築されていることから、イルマ自体が大きな「アート」としてその姿を示している。

〜省エネと「電飾」による観光の両立は可能か〜
photo008確かに環境を配慮すれば、「電飾」によるエネルギー消費は非難を浴びるだろう。しかし、私はシンガポール国立図書館のような環境への配慮と、イルマ・ショッピングモールのようなアートが共存できないかと考えた。というのは、例えば、観光地などは少し考えてみると「アート」な面を持っている。温泉や川、海などは自然のアートであり、そのアートを見に人々はやってくる。そうであるのならば、都会の街並みも「人工」のアートで着飾ってみてはどうだろうか。
消費エネルギーゼロで、モノを作ることはほぼ不可能なのではなかろうか。だとすれば、必然的に「省エネ」をしなければならない。その省エネが、いつまでもつのかはわからないが、超長期的にみると、地球はいずれ破壊されてしまうのではないか。地球に寿命があるとするならば、今生きている私たちが、地球の寿命を少しでも長くするために、何か取り組まなくてはいけないのかもしれない。
人間が生きるうえで、地球との共存が一番難しい「課題」なのかもしれない。
私は、この環境配慮と電飾によるアートの両立ができる未来が訪れると思う。
まずは、消費エネルギーを減少させる。そのためには、省エネ型の製品開発の存在が必要になる。例えば、さらなる省エネ型の電球が開発されれば、電飾による消費エネルギーを抑えることが可能となる。そして、エネルギーの蓄積を向上するために技術革新を推進することも必要になる。例えば、シンガポールのような日差しの強い国では、太陽光を利用したソーラーパネルによるエネルギーの蓄積が向上されれば、多消費エネルギーの対応も可能となる。
エネルギーの「消費」と「蓄積」といった2つの技術革新が組み合わされば、環境配慮と電飾によるアートの両立が可能となるのではないだろうか。

(by N.Seiichiro)